この記事でわかること

  • 手元のメールやヒアリングメモから導入事例を作る手順がわかる
  • AIに整理してもらうときの具体的な頼み方がわかる
  • 公開前のお客様確認と、写真なしでも成立させる工夫がわかる

---

導入事例のページが「準備中」のまま、何年も止まっている。サイトを開くたびに気になっているけれど、いざ作ろうとするとお客様に取材する時間がとれず、文章にまとめるのも苦手で、結局後回しになる。そんな話をよく耳にします。

実は、新しく取材に行かなくても事例ページは作れます。これまでお客様とやり取りしてきたメール、打ち合わせのときに走り書きしたメモ、電話で聞いた一言。そういう手元にある断片を素材にして、AIに下書きを作ってもらう方法です。完璧なインタビューがなくても、最初の3本くらいはこのやり方で十分動き出します。

なぜ導入事例ページがあると違うのか

お客様は問い合わせをする前に、「自分と似た状況の会社が、ここを使ってどうだったか」を知りたがっています。会社側が書いた紹介文よりも、実際に使った人の声のほうが信頼されやすいものです。事例が3本くらい並んでいるサイトと、何もないサイトでは、読み手の安心感がまるで違います。

導入事例ページにはもうひとつ良いことがあります。お客様の業種や課題の言葉が自然と文章に入るので、検索でその言葉を打ち込んだ人にページを見つけてもらいやすくなります。いわゆるSEOの効果ですが、難しく考えなくても大丈夫です。お客様の言葉でリアルに書くと、結果的に検索にも強くなる、という感覚で十分です。

取材しなくても素材はもう手元にある

「取材ができないから事例が作れない」と思い込んでいる方が多いのですが、取材しなくても素材はすでにあります。

たとえばお客様から届いた過去のメール。「対応が早くて助かりました」「先月の納品分、社内でも評判が良かったです」「トラブルの相談に乗ってもらえて、本当に心強かったです」といった一言が、メールの中に眠っています。打ち合わせのときに殴り書きしたノートには、「最初は不安だったけれど今は社員も慣れてきた」「思ったより操作が簡単だった」といった本音のコメントが残っているはずです。電話のあとに残した「言われたことメモ」も立派な素材になります。

きちんと整った取材原稿でなくていい、というのが大事なところです。短い断片でも、お客様の声がそこに残っていれば、事例の素になります。むしろ整いすぎていない、リアルな言葉のほうが読み手には響きます。

AIに頼むときの3つの整理ポイント

素材が集まったら、AIに整理を頼みます。このとき、いきなり「事例記事を書いて」と頼むのではなく、3つの軸を指定するのがコツです。

導入前の課題、選んだ理由、導入後の変化。この3点で整理してもらうと、事例として読みやすい形に仕上がります。

頼み方の例はこんな感じです。

「以下のメモは、お客様とのやり取りから集めた断片です。これをもとに、導入前の課題・選んだ理由・導入後の変化の3つに分けて整理してください。お客様の言葉はできるだけそのまま残してください。文章はです・ます調で、800字程度でお願いします。」

このあとに、集めたメモやメールの抜粋を貼り付けます。AIはそれを読んで、3つの枠に整理した下書きを返してくれます。

ただし、ここで出てきた文章をそのまま公開するのはおすすめしません。AIは整いすぎた文章を作りがちで、お客様らしい言葉のクセが消えてしまうことがあります。下書きが届いたら、もとのメモを見直しながら、お客様が実際に使っていた言い回しに戻していきます。AIは下書き係、仕上げは人間。この役割分担が事例記事ではとくに大事になります。

公開前にお客様へ確認をとる流れ

文章ができあがったら、公開する前に必ずお客様へ見てもらいます。許可をとらずに公開して、あとから「勝手に載せられた」と言われるのが一番こわい部分なので、この確認は飛ばさずにやります。

確認メールは難しく考えなくて大丈夫です。「先日お話を伺った内容をもとに、当社サイトの導入事例ページの原稿を作りました。掲載前に一度ご確認いただけますでしょうか。修正したい箇所があれば遠慮なくお知らせください」。このくらいのやわらかいトーンで送ります。

修正の希望が返ってきたら、素直に直します。固有名詞をぼかしたい、数字を伏せたいといった要望はよくある話で、そのまま受け止めて調整すれば問題ありません。最終版に「掲載してかまいません」と返事をもらってから公開する、という流れを習慣にすると安心です。

写真がなくても成立させる工夫

「事例ページには写真が必要」と思い込んでいる方も多いのですが、写真がなくても十分に成立します。

お客様のコメントを大きく引用するレイアウトにすると、文字だけでも読み応えが出ます。会社ロゴを許可をもらって載せるだけでも、ぐっと信頼感が増します。挿絵代わりにイラストを入れる方法もあります。最近はイラスト自体もAIで作れるようになってきました。ChatGPTの画像生成を使えば、会社の雰囲気に合わせた挿絵を自分で1枚用意できます。撮影の予定が組めなくても、ビジュアルで困ることは少なくなりました。

写真は、あとから追加していけばいいものです。最初の数本は文章とAI挿絵だけで公開して、お客様との関係が続く中でタイミングが合えば撮影させてもらう、くらいの構えで動くと、止まらずに進めます。

もっと踏み込みたいときは

慣れてきたら、オンラインミーティングでお客様にヒアリングして、その録画と文字起こしをAIに読ませる方法もあります。NotebookLMのようなツールを使うと、長い文字起こしから事例記事の素材を抜き出してくれます。詳細は今後、中級者向けの記事として執筆する予定です。

まとめ

完璧な事例ページを1本作ろうとすると、いつまでも公開できません。それよりも、ラフでもいいので3本くらいまとめて公開してしまうほうが、サイトの説得力もお客様の反応も一気に変わります。1本だけだと「たまたまの声」に見えてしまいますが、3本並ぶと「ちゃんと選ばれている会社」という空気が出ます。

最初の一歩は、過去のメールを1件選んでAIに読ませてみるところからで十分です。「このお客様のやり取りから事例の下書きを作って」と頼むだけで、形になりはじめます。まず1回試してみてください。

Q&A

Q1:お客様の名前や会社名は出さないとだめですか?

出さなくても事例として成立します。「製造業A社様」「サービス業B社様」といった匿名表記で公開している会社もたくさんあります。社名が出せると説得力は増しますが、まずは匿名でもいいので3本そろえて公開することを優先したほうが、サイト全体は前に進みます。

Q2:素材が断片的で、内容がうすくなりそうなときはどうすればいいですか?

無理にふくらませず、AIに「足りない部分はお客様への追加質問の形で出してください」と頼んでみる方法があります。出てきた質問をメール1通でお客様に送れば、短いやり取りで素材を補えます。最初から完璧を目指すのではなく、足りない部分をピンポイントで埋める発想に切り替えると気が楽です。

Q3:AIが作った文章をそのまま載せても大丈夫ですか?

そのまま載せるのはおすすめしません。AIの文章はきれいに整っているぶん、お客様らしい言い回しのクセが消えてしまいがちです。読み手は「リアルな声」を求めているので、もとのメモやメールにある言葉を所々に残すと、ぐっと事例らしくなります。AIは下書き係、仕上げは人間という役割分担を忘れずに。