この記事でわかること
AIに頼む前に、頭の中を30分で整理する方法
「誰に・何を・どうやって」をAIに伝えるコツ
AIが出した構成を、自分らしい企画書に育てる方法

企画書をAIに作らせてみたら、なんか違う資料が返ってきた。思い当たる方もいるかもしれません。内容がずれている、自社の話じゃない気がする、結局ほぼ書き直した。そうなってしまうとき、AIの性能が悪いわけではありません。原因はほぼ決まっていて、AIへの指示の渡し方にあります。

「企画書を作って」では、AIは動けない

AIは、与えられた情報をもとに文章を組み立てます。指示が曖昧なままだと、誰にでも当てはまるような、無難な構成しか返せません。「新しい取り組みの企画書を作って」という指示では、AIには「誰に見せるのか」も「何を決めてほしいのか」も「なぜ今この提案をするのか」もわかっていない状態です。

よく「プロンプトを工夫しよう」と言われますが、工夫する前にそもそも自分の中に伝えるべき情報があるかどうかが先の話です。AIへの指示文を上手く書こうとする前に、自分の頭の中を整理する時間が必要になります。

まず30分、自分の頭の中を整理する

企画書をAIに渡す前に、紙でもメモアプリでもいいので、次の3つを書き出してみてください。

「誰に見せるか」。社長なのか、現場の責任者なのか、取引先の担当者なのか。読む人によって、何を強調すべきかが変わります。

「何を決めてほしいか」。承認なのか、方向性の確認なのか、予算の相談なのか。企画書のゴールがここで決まります。

「なぜ今この提案をするのか」。背景や理由があるはずです。きっかけが何であれ、それを言葉にしておくと、企画書に説得力が生まれます。

フレームワークを使う必要はありません。難しく考えなくていいです。「自分だったらこの企画書を誰にどう説明するか」を頭の中で一度しゃべってみるだけでも違います。この30分が、AIから返ってくる構成の質を大きく変えます。

AIに渡す「3つの情報」とその伝え方

頭の中が整ったら、それをそのままAIに伝えます。

たとえば、こんな形です。

「老朽化した加工機の入れ替えについて、来月の幹部会議で方向性を決めたい。読むのは社長と工場長で、費用対効果を納得してもらうのが目的。現状、故障が増えてきており、修理コストが年々上がっている。」

これだけで、AIが返してくる構成はまったく変わります。誰に・何を・なぜ、の3点が揃っているからです。長い文章を書く必要はなく、この程度の情報を渡すだけで十分です。

AIの出力を、自分の企画書に仕上げる

AIが出してきた構成は、あくまで下書きです。ここから先が、人間の仕事になります。

まず見たいのは、自社の実情と合っているかどうかです。AIは一般的な企画書の型を知っていますが、自社の規模や社風、社長が何を気にするかは知りません。「うちではこう言わないと通らない」という感覚は、あなたにしかわかりません。

次に、数字と固有名詞を入れます。AIが出してきた構成には「〇〇の課題」「△△の効果」といった枠だけが並んでいることが多い。そこに、実際の数字や具体的な取引先名、現場で起きている出来事を入れていくのは、人間の仕事です。

AIの構成はそのまま使うものではなく、たたき台として育てていくものです。見出しの順番を入れ替えてもいい、不要な項目を削ってもいい。AIが出した構成は、あなたが企画書を作るための地図であって、答えではありません。

事前の30分を惜しむと、何が起きるか

1日かかっていた企画書が、1〜2時間で形になる。それだけで十分な変化です。ただ、その感覚に慣れてくると、事前の整理まで省きたくなることがあります。でも、その30分を惜しんだとき、返ってくるのは自社に合わない資料です。事前の整理こそ、企画書づくりで一番大事な時間です。

まとめ

AIと一緒に企画書の構成を考えるとき、最初にやることはプロンプトを書くことではありません。「誰に・何を・なぜ」を自分の言葉で整理することです。

その30分があれば、AIが返してくる構成は一気に使えるものになります。あとは、自社の数字や言葉を加えながら、あなたらしい企画書に仕上げていく作業です。

今日、企画書を書かなければならない仕事があるなら、まずメモを開いて「誰に見せるか」の一行だけ書いてみてください。それが、企画書づくりの最初の一歩になります。

Q&A

Q. AIに渡すプロンプトは、どのくらい詳しく書けばいいですか?

長さよりも「誰に・何を・なぜ」の3点が揃っているかどうかが大事です。3〜5行でも、この3点が入っていれば十分使える構成が返ってきます。逆に長くても、この3点がぼやけていると出力もぼやけます。まずこの3点だけを意識して書いてみてください。

Q. AIの構成案が的外れだったとき、どうすればいいですか?

そのまま作り直しを頼む前に、一度「どこがずれているか」を言葉にしてみてください。「読む相手が社長なのに、現場向けの説明になっている」「承認を求める資料なのに、情報整理で終わっている」といった具合です。そのずれをそのままAIに伝えると、次の出力が大きく改善されます。

Q. 構成案を複数パターン出してもらった方がいいですか?

最初の1回は1パターンで十分です。複数出してもらうと選ぶ手間が増えて、かえって時間がかかることがあります。まず1つ返ってきた構成を読んで、「ここが違う」と感じたら修正を加える。その往復の方が、早く完成に近づきます。